安全の手引き:カンボジア

令和5年9月1日

I 序言

 この手引きは、カンボジアに長期滞在される方々に、当地での生活をより安全にお過ごし頂くために必要な防犯対策及び緊急事態発生時等の行動についてまとめたものです。カンボジアに新たに長期滞在される方は、内容を良く読んで実践して頂き、また既に滞在中の方は、防犯意識が鈍化しないように、定期的に読み返すことをお勧めします。

 カンボジアは、日本と比較すると、治安状況はよくありません。プノンペン都内を中心として、空き巣、住居への押し込み強盗や、ひったくりが頻発しており、在留邦人や日本人旅行者の方々も、これらの被害に多くあっています。また、プノンペン、シェムリアップ、シハヌークビルなどの観光地においては、いかさま賭博詐欺やこん睡強盗など、観光客などを狙った犯罪の被害者となったり、長距離バスやボートの事故に巻き込まれるなどの事例が発生しています。
 
 また、犯罪の取り締まりにおいては、治安当局の事務処理や信頼性が日本と比べるとけっして十分とは言えず、被害届の受理すらされないことも珍しくありません。カンボジア滞在中は、「自分たちの安全は自分で守る」という心構えを強く持って安全対策に努めることが重要です。どのような犯罪や事故が発生しているのか、治安に影響のあるイベントの有無を含め、普段から正確で有効な情報を収集し、各種対策を立てて行動し、被害を未然に防止するとともに、万が一犯罪や事故に巻き込まれてしまった場合には、冷静に対処するよう心掛けてください。

 当館においても、ホームページに安全情報を掲載するとともに、適宜必要なお知らせを領事メールにてお送りしていますので、本手引きとともに参考として活用し、カンボジアでの滞在をより良いものとしていただければ幸いです。

 
在カンボジア日本国大使館
電話: 023-217-161~164 Eメール(領事班)consular.jpn@pp.mofa.go.jp
電話受付時間: 08:00~12:00, 13:30~17:15(休館日を除く)
窓口受付時間: 08:00~12:00, 14:00~16:30(休館日を除く)

在シェムリアップ日本国領事事務所
電話: 063-963-801~803 Eメール: consuljp.rep@re.mofa.go.jp
電話受付時間: 08:00~12:00, 13:30~17:15(休館日を除く)
窓口受付時間: 09:00~11:30, 14:00~16:30(休館日を除く)

II 防犯の手引き

1 最近の犯罪発生状況

 カンボジアでは、政治情勢の安定化に伴い、従前と比べて治安状況は改善していますが、内戦後回収されずに残った銃火器など様々な武器の入手が容易であることに加え、都市への人口流入が進んだことで、依然としてプノンペン都内を中心に、昼夜を問わず、住居への侵入、オートバイや徒歩で移動中の者を狙ったひったくり、性犯罪、金品目的の強盗・殺人などの事件が頻発しています。
 内務省国家警察の2022年の国内犯罪発生統計資料によれば、犯罪の認知総件数は2,770件で、そのうち、殺人、強盗、強制性交などの重大犯罪は、608件と全体の約20%を占めています。ただし、ひったくりを含む窃盗などの軽犯罪は大半が届出られておらず、軽犯罪以外にもこれらの数字に含まれない犯罪も多数発生している可能性が高く、実際の犯罪発生件数はこれよりも相当多いと考えられる点には注意が必要です(参考:日本の2022年刑法犯認知件数は601,331件)。
 治安当局は、主要幹線道路各所に検問所を設置したり、市内各所に防犯カメラを設置するなど、犯罪の抑止対策に取り組んでいるようですが、プノンペン都内においても銃火器などの凶器を使用した凶悪な犯罪が発生していますので、日頃から警戒意識を持って、防犯対策を講じておく必要があります。
 また、クメール正月、国王誕生日、プチュム・バン、水祭り、クリスマス及び年末年始の連休シーズンは、スリ、ひったくり、強盗、空き巣などの金品目的の一般犯罪に加え、人の往来が増えることに伴い交通事故も増加しますので、特に注意が必要です。
 

2 防犯のための具体的注意事項

2.1.住居の防犯対策

住居選択の際のポイント
● 事前の入念なチェック
 住宅を選ぶ際は、安全性を十分に考慮し、物件の確認と事前の交渉をすることが肝要です。家主に依頼すれば、玄関ドアのカギなど設備を整えてくれる場合もあります。防犯設備の改善について関心がない、または改善の要求に応じない家主は敬遠した方が無難です。
● 地域の安全確認
 住宅周辺の環境や、治安、付近住民の様子などに問題はないかどうか、事前に情報を収集するとともに、自分の目で確かめてください。
● サービスアパートメントを選ぶ場合
 サービスアパートメントは、警備員を常駐配置し、塀や有刺鉄線で周囲を囲み、独自の警備対策を行っており、安全性が高いと言えます。下層階や隣接する建物からの侵入が容易な階層は、侵入盗の被害に遭いやすいため、可能な限り高層階を検討してください。
● 独立家屋を選ぶ場合
 独立家屋は、サービスアパートメントより安全面で劣りますので、できるだけ警備員を雇用するようにしてください。また。外周のうち3方が他の住宅などに囲まれており、高さがおおむね2メートル以上で有刺鉄線や忍び返しが設置されている外塀がある家屋を選ぶようにしてください。犯罪者は他人に目撃されることを恐れるので、防犯灯を設置すれば、物理的、心理的に侵入を阻止する効果があります。
 家主が防犯対策に積極的であるかどうかは大変重要ですので、契約の際に必ず確認するようにしてください。
 
※ 外国人居住登録
「カンボジア外国人滞在システム(Foreigners Present in Cambodia System)」に登録されていない外国人は、ビザの延長申請ができません。同システムへの登録は、家主が実施すべき者ですので、住宅を選ぶ際には、家主の協力が得られる見込みか必ず確認してください。
【参考】https://www.kh.emb-japan.go.jp/itpr_ja/b_000264.html 
 
 
住居の防犯設備
● 警備員
 概して、警備員がいない住居は、賊から狙われやすく、侵入被害に遭うことが多々ありますので、警備員の配置は効果的です。独自に警備員を雇う場合には、信頼できる人物を確保し、勤務要領や突発事案発生時の対処要領も良く指導しておくべきです。既に警備員を配置している住居への入居を検討している場合は、下見の際に警備員の勤務態度や対応を見ておくとよいでしょう。
● 玄関
 玄関の扉は、枠も含めて頑丈なものとし、扉を開けなくても来訪者を確認できるようにドア・スコープを取り付けましょう。
 通常、玄関等の出入り口にはシリンダー錠が多く使用されていますが、シリンダー錠は構造的に弱く、外錠には不適当ですので、堀込み錠(ボックスロック)等の頑丈なものに交換してください。さらに、閂(かんぬき)、落し錠、チェーンロック等を追加すれば効果的です。
 見知らぬ訪問者があった場合は、すぐに門やドアを開けたり、敷地の中に入れたりしてはいけません。どうしても面談を希望する場合には、家主の家へ行かせるか、あるいは勤務先に来させるなどの措置を取ることをおすすめします。また、予定された訪問者であっても、不自然な同行者や不審な点がないか、家の周囲に不審者がいないかどうかを確認してください。
● 窓
 侵入者にとって格好の侵入経路は窓です。窓や、窓枠それ自体が頑丈でなければ鉄格子で補強しても枠ごと破壊されてしまいますので、独立家屋の場合には、十分な強度があるかを確認してください。また、屋根、屋上、二階の窓、バルコニー、はめ込み型クーラーの穴などから侵入するケースもありますので、窓だけではなく、侵入路となりそうな箇所には鉄格子を取り付けることをお勧めします。また、二階や屋根などに侵入することを助ける足場となる構造物がある場合は、直ちに取り除き、梯子などは放置しないように注意しましょう。
● 外塀
 カンボジアでは、外塀は犯罪者の侵入を防ぐために非常に重要です。サービスアパートメントであっても、高さがおおむね2メートル以上ある住居を選ぶようにしてください。

 

2.2 外出時の防犯対策

 カンボジアにおいて、外出時に遭遇する可能性の高い犯罪は、ひったくり、スリ及び強盗などが挙げられます。いずれの犯罪についても共通した対策は次のとおりです。
  •  夜間の外出は避け、必要な場合は乗用車を利用してなるべく短時間で帰宅すること。
  •  外出時はできるだけ荷物を持たず、両手を自由に使えるようにしておくこと。
  •  不審者や尾行者がいないか時々確認し、尾行されていると感じたら、警察官のいる大通りの交差点、会社事務所、商店などに待避してやり過ごすこと。
 なお、犯罪被害の事例とそれらへの具体的な対策は、在カンボジア日本国大使館のホームページにある「犯罪被害事例と対策」に記載しています(巻末参照)。
 
ひったくり
 ひったくり犯は、トゥクトゥクや徒歩で移動中の人を狙い、バイクで接近し、追い越しざまに持っている携帯電話やバッグなどをひったくり逃走するケースが非常に多く、国内の至る所で発生し、在留邦人、短期渡航者を問わず多数の方がひったくりの被害に遭われていますがので、注意してください。
 被害に遭った際、奪われそうになったバッグを離すまいと抵抗したり、バッグの肩ひもを引きずられることなどして転倒し、重傷を負ったり死亡するケースも実際に発生していますので、絶対に抵抗しないでください。
 ひったくりの防犯対策としては以下が考えられます。
  • 外出中は出来るだけ手荷物を持たないようにし、可能な限り両手を自由につかえる様にしておく。
  • パスポート、所持金、携帯電話などを同じバッグに入れない。
  • 歩行中はバック等を「たすきがけ」にして、車道側にさげない(たすきがけしていても、ひったくり犯は強引に奪おうとします。)。
  • トゥクトゥクを利用せざるを得ない場合、バッグ等を椅子や膝の上に放置せず、乗車中も周囲に注意を払うことを忘れない。
  • 徒歩中にスマートフォンやカメラ等の高価なものをむやみに取り出し、使用しない(スマートフォンを狙ったひったくりが多数発生しています)。
  • レストランや商店から出てくる際には付近に不審な人物がいないか確認する(ひったくり犯が外国人などの出入りが多い施設付近でターゲットを物色してから犯行に及ぶ事例も多く報告されています。)。
 
スリ
 プノンペンのマーケットやショッピングモール、シェムリアップのアンコール遺跡群、パブストリートなどの人混みで、スリ被害が多く発生しています。また、マッサージを受けている間に、足下に置いてあった鞄から貴重品を盗まれるといった事案や、観光地の繁華街のバーなどで飲酒している時やその店を出たところで、複数の子供達に囲まれ、気がつくと財布を盗られていたという事案が発生しています。
 スリの防犯対策としては以下が考えられます。
  • 人混みの多い場所で買い物をする際には、多額の現金を持たず、パスポート等の貴重品も持ち歩かない。また、尾行者や不自然に接近してくる人がいないか確認する。
  • 手荷物も極力持たないようにし、やむを得ず持つ場合は常時荷物を視野に入れ、身体の正面でしっかりと把持する。
  • 違法なサービスを行うマッサージ店やナイトクラブなどは利用しない。
 
強盗
 強盗被害は、日没から深夜にかけての時間帯に最も多く発生していますが、白昼の住宅街や出勤時間帯の幹線道路においても被害発生が報告されており、時間帯や場所にかかわらず、周囲には常に注意を払うようにしてください。
 また、共犯者が、ひったくりやスリの被害者に対して、支援を申し出るふりをしつつ、被害者を暗闇に誘い込み、集団で強盗に及ぶ事例も報告されています。
 抵抗した被害者に対して、犯人が銃火器や暴力を使用するといった事例もこれまでに多く報告されており、過去には、バイクに乗った2人組にかばんを強奪された日本人が、犯人に抵抗したため拳銃で射殺される事件も発生しています。二次被害を避けるため、強盗被害に遭ってしまった場合には、身の安全を最優先に考えて、絶対に抵抗しないでください
 強盗の防犯対策として以下が考えられます。
  • 夜間の外出は避ける。
  • 移動はできる限り自動車、信頼できるドライバーを呼ぶ、料金を事前に確認ができるアプリを利用したタクシーを利用する。または旅行代理店やホテルに紹介してもらう。
  • 乗車してからも気を抜かず、異なる方向に向かっていないか常に周囲の様子を確認する。また、指示と異なった方向に向かう等、おかしいと感じた場合には、人気のある明るい場所で停車させ降車する。
  • スマートフォンやデジタルカメラなどの高価なもの、多額の現金をむやみに人前で取り出さないこと。
 
いかさま賭博詐欺
 日本人旅行者が度々被害にあう詐欺として、いかさま賭博詐欺があります。いかさま賭博詐欺は多くの場合、次のような手口で行われます。
  • 観光地(プノンペンでは、リバーサイドや独立記念塔付近など)やショッピングモール(日系ショッピングセンターで声をかけられる事例も複数報告されています)など、外国人が多く集まる場所において、片言の日本語や英語を話す東南アジア系の男女に「日本人ですか」、「観光客ですか」などと声をかけられる。
  • 話をしていると、「自宅で食事をご馳走したい」、「日本に興味があるので家でゆっくり話を聞きたい」などと言い、自宅や知人宅などプライベートな場所へ招かれる。
  • 訪問した先で、詐欺犯の自称家族や知人達と食事をし、談笑しているとカードゲームへ誘われ、これに同意すると、いかさまの方法を教えてくる。
  • いかさまの方法を被害者が覚えたところで、これからいけ好かない大富豪が賭けにやってくるからお金を巻き上げてやろうと誘われる(この段階で拒絶しても、揉めている間に大富豪が来てしまい、賭けをやらざるを得なくなることが多い。)。
  • 最初は教わったいかさまで勝ち続けるが、最後に大富豪が大金を賭け、こちらも同額を用意しろと言ってくる。詐欺犯から絶対に勝てるからカードで現金を引き出してきてほしいと言われ、詐欺犯の自称家族や知人(見張り役)にATMへ連れて行かれ現金を引き出させられる。もし、カードがATMで使えない場合、付近の店舗に移動し宝石や高額な携帯電話をカードで購入させられる。
  • 現金を用意し、詐欺犯に電話すると詐欺犯はお金を当日中に用意できなかったから、明日賭けは仕切り直そうと提案され、現金を預けてくれと言われ、現金を見張り役に持って行かれる(この際、信用を得るため、担保として詐欺犯自身の現金や貴重品が入っているとする鍵付きのカバンを渡されることがあるが、実際に中に入っているのは水や紙切れなどで、当然誰も取りに来ることはない。)。
  • 後日、電話しても連絡はつかず、詐欺にあったことに気づく。
 いかさま賭博詐欺は、たくみにストーリーを作り、相手を信じ込ませるところが巧妙であり、被害者の中には現金を預け、連絡がとれない段階となっても詐欺に気づかない方もいます。
詐欺の防犯対策として以下が考えられます。
  • 旅行中や滞在中に知り合った見知らぬ人物の誘いに応じて、一緒に行動したり、宿泊や食事を共にしたり、相手宅に同行したりすることは避ける。
  • 知り合った人物に、自分の宿泊先や連絡先、滞在先などを安易に教えない。
  • 搾取された携帯電話の位置情報から詐欺犯の居場所が判明しても、決して単独で訪問しない。
 
薬物
 カンボジアでは、日本と同じく、大麻や麻薬などの違法薬物を所持したり、使用したりすることは禁止されており、警察に拘束されれば長期間拘置されるだけでなく、重い刑罰が科せられるなど、深刻な事態をまねきます。プノンペンやシェムリアップの繁華街などでは、バイク・タクシーの運転手などが薬物の売買を持ち掛けてくることもありますが、絶対に相手にしないでください。

 

3 生活上の注意点

カンボジア人と接する場合の注意

 1970年代後半のクメール・ルージュ政権の時代に、カンボジア国民の多くが弾圧され、当時の国民の4分の1から5分の1にあたる約200万人が死亡したとされており、カンボジア人のほとんどが身内に被害者がいるとも言われています。このような悲惨な過去を経験したカンボジアでは、政治的な議論に感情的になる人が少なくありません。中には両親を目の前で殺害され、心に大きな傷跡を残す人もいます。カンボジア人自らが話すことに耳を傾けるのは良いでしょうが、こちらから過去の問題に安易に触れることは避けるべきです。
 一般的にカンボジア人はプライドが高く、メンツを重視しますので、人前で非難されたり、侮辱されたりすることを非常に嫌います。また、過去の歴史等から、反ベトナム感情、反タイ感情が強い人が少なくないことにも注意してください。
 
使用人に対する注意

 使用人(メイド、運転手等)は家族と長い時間を一緒に過ごし、家族に関する情報を知りうる立場にあります。したがって、信頼できる使用人を雇用できるか否かは、安全な生活を送ることが出来るかどうかを左右する重要なポイントと言えます。使用人を雇用するにあたっては信頼できる人物から紹介を受けるのが一番です。また、使用人には家族同様に防犯対策を指導し、必要以上に心を許したり、隙を見せたりしないことが必要です。使用人が犯罪の手引きをする例もありますので、日頃から言動、態度、交友関係等について注意を怠らないようにしてください。
 
家族に対する防犯対策の徹底

 家庭では、家族全員が次の事項を十分理解し、警戒の方法を理解した上で被害を防ぐために何をすべきか知っておくよう、日頃から心掛けてください。
  • 自宅にいるときでも家の出入り口の鍵を全部かける。
  • 就寝時や外出時は、扉や窓を施錠する。
  • 自宅の鍵のスペアーを必要以上に作成・所持しない。鍵をなくしたり盗まれたりした場合は、鍵をすぐに取り替える。
  • 決して見知らぬ人を家の中に入れたり、家族の情報を教えたりしてはならない。
  • 家族がどこにいるかを常時把握しておき、外出中は決して子供から目を離さないよう特に注意する。
旅行等で家を離れる場合の注意

 長期間自宅を留守にする際には、その情報を不用意に他人に漏らさないことが大切です。長期間の留守の際は、外出前に状況を確認しておき、帰宅時に自宅周辺及び自宅内に異変がないか確認することが大切です。
 
仕事探しに際しての注意事項

 東南アジア地域を中心に、「短期間に高収入」や「簡単な翻訳作業」などと言葉巧みに日本人を誘い出し、強制的に特殊詐欺など犯罪行為に加担させる事例が多数報告されており、特にカンボジア国内にこうした活動拠点が多数存在しているとの情報もあり、複数の日本人が関与した事例も実際に発生しています。
 こうした事例では、一度加担すると軟禁状態に置かれ、外出や外部との連絡が制限されるため、「やめたい」と思っても抜け出すことが出来ず、意思に反して強制的に違法行為に長期間従事させられることとなり、中には組織内のトラブルに巻き込まれ暴行を受け重傷を負ったり、現地当局より違法行為の加害者として逮捕されるなど深刻な結果に至ることも少なくありません。
 犯行グループは、日本人が組織している場合もあれば、現地人やその他の外国人が関与している場合もありますが、闇バイトのような形で誘い出し半ば強制的に犯罪行為に加担させる点ではどの組織も共通していますので、安易にこうした求人に応募しないよう、慎重な判断を心がけてください。
 
情報収集

 危険を回避して、安全に生活するためには、情報収集を欠かすことが出来ません。日頃から新聞、テレビ、ラジオなどのニュースに注目するほか、現地の隣人や在留邦人と良好な関係を作ることによって、いわゆる「口コミ」の情報を得ることができ、いざというときに助力を期待することが出来ます。但し、「口コミ」の情報には、不正確な情報が含まれていることもあるので、可能な限り複数のルートを用いて情報収集を行うことが大切です。
 
医療・衛生環境

 カンボジアの衛生事情は、日本と比較して劣悪です。
 医療についても、軽症から中等症の疾病の場合は、一部の限られた私立診療所・病院では日本と同程度の診療が可能ですが、重症の場合には、バンコクやシンガポールなどに移送されることとなります。プノンペン及びシェムリアップには、日本人医師・歯科医師が常勤する医療機関がありますが、それ以外の地域に、外国人向けの医療機関はなく、英語が通じないことも少なくありません。
 気候は、大きく雨季(6月~10月)と乾季(11月~5月)にわかれ、気温は年間を通じて高い熱帯性気候です。
 雨季は、1日に数時間雨が激しく降り、町のあちこちに水たまりができ、道路が冠水することもあり、このため蚊によって媒介されるデング熱やチクングニア熱に罹患するリスクが増加します。
 乾季のうち、3月後半から5月にかけては気温が特に高く暑さが厳しくなります。十分な水分補給など、熱中症対策をしてください。
 また、年間を通して、破傷風や狂犬病のリスクがあります。カンボジア渡航前に、予防接種を受けるようにしてください。
 
 なお、私立の医療機関では支払保証の確認が行われ、支払い能力がないと判断された場合には、第三国への搬送を含め、治療を受けられませんので、十分な額の海外旅行傷害保険に加入することが必要です。
 海外旅行傷害保険は、種別や加入タイプによって、支払対象となる傷病や限度額、また、保険を適用できる病院(地方都市ではこのような病院はわずかです)が異なります。カンボジアに移動する前に、保険の内容などをしっかりと確認し、安心してカンボジアに滞在できる保険に加入するようにしてください(重症になると、クレジットカードの付帯保険の補償額では不十分なことが多いため、高額な治療費にも対応できる海外旅行傷害保険への加入を強くお勧めします)。
【海外安全ホームページ:海外旅行保険加入のおすすめ