日本国政府によるアンコール遺跡救済事業

平成29年3月1日

概要

 
日本政府は世界的文化財の保存修復に貢献するため、ユネスコ文化遺産保存日本信託基金を通じたプロジェクトとして、1994年に「日本国政府アンコール遺跡救済チーム(JSA:Japanese Government Team for Safeguarding Angkor、団長:中川武 早稲田大学名誉教授)」を結成。第3フェーズからはアプサラ機構とJSA による合同チームJASA(JSA and APSARA Safeguarding Angkor) を組織し,両者の共同によって現地での事業を実施している。これまで延べ1,300人を超える日本人専門家が現地に赴き、約85人のカンボジア人スタッフと共同で保存修復活動に当たっている。

(写真)カンボジア人スタッフへの技術指導

(写真)カンボジア人スタッフへの技術指導

 

保存修復事業(☆修復事業サイトの地図はこちら☆)
 

第1期事業
期間:1994年11月~1999年9月(4年11ヶ月)
事業費:約960万ドル
内容:バイヨン寺院(アンコール・トム)の北経蔵の保存修復 

(写真)バイヨン北経蔵の修復工事

第2期事業
期間:1999年5月~2005年4月(6年間)
事業費:約1,100万ドル
内容:プラサート・スープラ塔(アンコール・トム王宮広場前)の修復、アンコール・ワットの北経蔵の修復、バイヨン寺院全体の包括的保存修復マスター・プランの策定


 

(写真1)アンコール・ワット北経蔵の修復工事の風景  (写真2)修復工事の完了したプラサート・スープラN1塔(竣工2005年)

第3期事業
期間:2005年6月~2011年8月(6年間3ヶ月)
事業費:約327万ドル
内容:対象サイトをバイヨン寺院に絞り、第2期に行ったマスター・プランに基づいて調査・修復活動を行う。具体的には1.第1期で修復した北経蔵のノウハウを活かした南経蔵の修復、2.浮き彫り彫刻劣化原因調査、保存計画の策定等、3.中央塔の地盤調査、保存計画の策定等。


 

(写真1及び2)バイヨン南経蔵の修復工事


第4期事業
期間:2012年2月~2018年6月(6年間6ヶ月)
事業費:約257万ドル
内容:第3期に引き続きバイヨン寺院における修復作業
 
  1. 中央塔の構造安定化
  2. 内回廊浮き彫りの保存修復
  3. 東ゴープラ及び東側外回廊の整備作業
  4. バイヨン東面景観整備のための考古学調査
  5. バイヨン本尊仏の再修復・レプリカ作製・再安置及びナーガ・シンハ像の修復に対する技術協力

 

※日本国政府アンコール遺跡救済チーム(JSA)ホームページ:http://www.angkor-jsa.org/